2021-03-16
衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)を主務官庁とし、経済部(日本の経済産業省に相当)が実施する「法人科技専案(TDP for Nonprofit Research Organization)」に長年参加している財団法人国家衛生研究院(National Health Research Institutes)は15日、がん細胞だけに低分子薬を運ぶドラッグデリバリーシステム(DDS:薬物送達システム)を活用した新薬「DBPR115」の研究・開発成果を発表した。
この新薬は海外で特許権を取得した技術を運用したもので、結合した薬物を効率よくがん細胞に運ぶため、治療の効果を高め、副作用を抑えることができる。低分子薬の開発を中心とする台湾の産業特性に合致したもので、且つ画期的医薬品(ファースト・イン・クラス)に属する。これは台湾の低分子薬産業が全く新しい薬品の開発に向けて邁進するための主要技術の一つとなる。現在医療の現場で使われているがん治療薬のイリノテカン (irinotecan:CPT-11)と比べると、20%の投薬量で直腸や膵臓の腫瘍の生長を抑制する効果を数倍にも高めることができる。
経済部によると、産学研連携の結果、2020年12月15日に米FDAに治験新生(Investigational New Drug、略称IND)を行ったところ、今年1月15日に第I相試験(フェーズ I)の実施に同意するとの通知があった。台湾で研究・開発されたがん治療薬のドラッグデリバリーシステムとしては初めての快挙だ。
この技術は低分子アミン化合物を医療現場で使われているがん治療薬と結合させることで、がん治療薬をがん細胞に直接かつ集中的に届けることができる。これによって腫瘍中のがん治療薬の濃度を高め、薬効を高めて副作用を減らすことができる。高分子の伝達システムと比べて、薬物のキャリアとなる低分子アミン化合物は製造過程の簡易化が可能なため、生産コストがやや低く、免疫反応を引き起こす機会も少ないというメリットがある。
Sources:Taiwan Today;2021年03月16日
資料來源: 経済部