2021-01-19
オートバイ(バイク)産業におけるスマートマニュファクチャリング(スマート製造)のスタンダードを確立し、国内のオートバイ産業のデジタル変革とさらなるスマート化につなげるため、経済部(日本の経産省に相当)工業局は「機車関連零組件智慧製造開発計画」(オートバイ関連部品のスマート製造開発計画)を推進している。同計画では、工作機械大手の東台精機股份有限公司(Tongtai)が長年にわたる設備開発と設計の経験を活かして台湾のオートバイメーカー最大手、光陽工業(KIMCO)と協力、台湾の産業界・学術界・研究者の力を結集し、東台精機内にオートバイ関連部品のスマート化フレキシブル生産ラインを造り上げた。同生産ラインは台湾で初めてのもので、光陽工業でクランクシャフトを加工する旧生産ラインもスマート化生産ラインに改造した。
さきごろこの生産ラインを参観した経済部の林全能常務次長(事務次官)は、「東台精機はこのプロジェクトを通じてシステムインテグレーションの整ったサービスを確立し、従来型の工作機械メーカーから見事にスマート機械のソリューション提供者へと変革を遂げた」と大いに評価した。
このほど東台精機が開発した「機車引擎箱蓋智慧弾性生産線」(オートバイのエンジンカバーのスマート化フレキシブル生産ライン)は、スマート化技術(センサー、IoT=モノのインターネット、ビッグデータなど)を利用して、個別の生産ラインと生産ライン全体のシミュレーションシステム、部品のスマート加工のためのプラットフォームを整えたもので、生産情報の可視化、故障や異常の予兆管理、先進的な生産スケジュール、フレキシブル生産などのスマート機能を実現している。東台精機智慧技術本部の曽文鵬協理(部長)は、スマート化技術と機能を用いることで、生産ラインは3機種の6つの部品を作れるようになったほか、生産品の変更と調整にかかる時間も従来の3時間からわずか3分間へと短縮出来たと強調した。
光陽工業が従来使用していたクランクシャフトの生産ラインでは生産過程を人が管理しており、即時性に欠けていたため故障や異常の把握が難しかった。しかし陳志峯工場長によれば、スマート化された生産ラインではセンサーやデータなどを活用してカギとなる製造工程の情報を獲得し、ロボットアームを加工用ならびにツールや部品のグリップへと切り替えることで、台湾で唯一5種類の異なるクランクシャフトの混流生産が可能になり、生産能力が29%高まった。また、企業資源計画(ERP)を通じてスマート生産ラインとサプライヤーの情報を垂直統合し、品質と納入時期を常にモニタリングしておくことで、サプライヤーが時間通りに納品する率は95.9%へと高まった。
東台精機のスマート化フレキシブル生産ラインの開発ならびに運用によって生まれた設備と生産ラインはすでに航空宇宙産業や自動車会社など約150社の顧客に広がっている。その中には日本や欧米、東南アジアなどの20近い国々が含まれており、受注額は36億台湾元(約132億日本円)を超えるという。光陽工業ではさらに、スマート製造への変革を進めたことで外国の大手メーカーからの受注にも成功、新たに24億台湾元(88億日本円)を売り上げることとなった。光陽工業は今後もこれらの経験と技術を生かして既存の生産ラインと加工設備のグレードアップを推進し、国際的なオートバイブランド及び高付加価値の部品メーカーへの段階的な変革を目指していくという。
Sources:Taiwan Today;2021年01月19日
資料來源: 経済部工業局