2020-05-15
オーストラリアのモナシュ大学生物医学研究所(Biomedicine Discovery Institute)は今年4月3日、同じくオーストラリアのピーター・ドハーティ感染免疫研究所(Peter Doherty Institute for Infection and Immunity)との共同研究の結果、抗寄生虫薬のイベルメクチン(一般名)が新型コロナウイルスの成長を48時間以内に抑制でき、細胞がウイルスを排除するのを助けることがわかったと発表した。この発表は各界から注目された。
科技部(日本の省レベル)はこの研究内容を慎重に検討した結果、長庚大学(台湾北部・桃園市)新興病毒感染研究中心(新興ウイルス感染研究センター)で主任を務める施信如特別招聘教授を台湾の研究代表者として推薦、駐オーストラリア代表処の科技組(科技部)にオーストラリア側との連絡を要請し、双方の共同研究を目指すことにした。
その後、双方の研究スタッフは集中的な話し合いを経て今月7日に初のビデオ会議を開催。会議ではいずれも共同研究に高い意欲を示し、今後の具体的な合作項目についてもコンセンサスに達した。科技部によると、今後台湾がウイルス株とP2レベルとP3レベルの実験室の設備を提供、オーストラリア側は実験用薬物をを提供し、イベルメクチンの新型コロナウイルスに対する抑制効果を共同で研究する。また、この協力体制はさらに後天性免疫不全症候群(エイズ)やジカ熱、インフルエンザ、デング熱などのウイルスの研究にも広げる計画だという。双方は長庚大学とモナシュ大学の代表が関連の協力と秘密保持の協定を交わすことでも合意、署名が終われば直ちに具体的な研究に乗り出すことになっている。科技部は共同研究の進度をチェックしながら適切なタイミングで最大のサポートを行うことにしており、感染予防への具体的な成果に1日も早く到達できるよう期待している。
長庚大学新興病毒感染研究中心は2009年に設立され、科技部の補助を受けながら研究プロジェクトに取り組んでいる。2018年には「特色研究中心計画」で科技部の補助を受けた。同中心は、重症急性呼吸器症候群(SARS)やH1N1型鳥インフルエンザなど新興のウイルスが社会と経済、交通、生態系、教育などに与える衝撃と脅威に対応していくことを任務としている。
資料來源: 科技部