2019-03-27
政府系のシンクタンク、財団法人中華経済研究院(中経院)は、企業による循環型経済を普及させるため、「第1回2019スマートシティ展、台湾循環型経済賞授賞式」を開催した。この賞では、企業52社、作品80点が審査を受け、最終的にわずか11社が賞を獲得した。循環型経済賞は、「企業賞」、「製品賞」、「イノベーション賞」、「クロスボーダー賞」の四部門に分かれている。
中華民国(台湾)経済部(日本の経済産業省に相当)管轄の公営企業、台湾電力公司(台電 )による「石炭灰リサイクル計画」や台湾糖業公司(台糖 )による「豚の胆汁を配合したシャンプー」がイノベーション銀賞に選ばれた。
「廃棄物ゼロと天然素材」の理念を持って豚のすべてを利用する台糖は、豚の胆汁からビリルビン、胆汁酸塩、アミノ酸などの成分を抽出し、配合したシャンプーを開発した。天然由来のシャンプーは、消費者への安心や健康維持だけでなく、循環型経済にも貢献している。台糖によると今回受賞した「台糖スムース頭皮活性化アミノ酸シャンプー(中国語名:台糖詩夢絲甦活頭皮胺基酸洗髮精)」は、傘下の畜産会社が屠殺した台糖のブランド豚「安心豚」の食肉処理後に余った部分から、専門技術による胆汁の抽出を行い、シャンプーに配合したものだという。なお、台湾の巷の噂では、おじいさんやおばあさんが豚の胆汁で髪の毛を洗っていたら、洗うほどに髪の毛が黒くなったと言われている。
一方、台電が推進する「石炭灰の裏込め材への利用計画」について同社は、「石炭灰は石炭火力発電で生じる副産物で、これまではほとんどがコンクリートの生産材料としてのみ販売されてきた。石炭灰をリサイクルして、裏込め材に利用すれば、セメントや砂・石の使用を減らすことができる。石炭灰は、今のところ配管内用の裏込め材として利用しており、100万トンを超える石炭灰の再利用機会を創出した。今後は用途を広げ、海洋土木にまで拡大する可能性がある」と説明した。このほか台電は、昨年、石炭灰でマンホールをイメージしたコースターやセラミック製碍子を使ったランプなど生活雑貨も展開した。
中経院グリーン経済研究センターの温麗琪主任は、法律の改正は環境汚染のスピードに追い付かないと指摘し、模様眺めの企業が多い中、台湾循環型経済賞に選ばれた企業は既に循環型経済への移行を実践しており、各分野における模範や手本になっていると説明した。
温麗琪主任はまた、「2030年に1.5度以上の気温上昇を防ぐため、中経院は『台湾グリーン経済イニシアチブ』を発表した。全力で国内外との業種を超える協力関係を強化し、教育の場でコンセンサスを形成し、グリーン経済のカギとなる技術を共同で研究・開発していく。環境や社会的ガバナンスを向上し、イノベーションによるグリーン経済のビジネスモデルを構築する」と強調した。
台湾循環型経済賞は、英国規格協会(BSI)、アメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories Inc.: UL)の世界二大安全認証規格を組み合わせ、候補に挙がった企業の本社や工場を実際に訪問し、情報の信頼性を保障するため製作の全行程をビデオカメラに撮影している。審査員は、産業界、学界、非政府組織の代表16名が担当した。さらに国立台北科技大学国際産学連盟、資源循環台湾基金会、台湾金融研訓院、財団法人台湾永続能源研究基金など重要な機関が協賛している。
Sources:Taiwan Today;2018年03月27日
資料來源: 経済部