2019-02-18
行政院(内閣)の蘇貞昌院長(首相)は14日、行政院院会(閣議)で国家発展委員会による「アジア・シリコンバレー推進計画」の進ちょく状況と成果に関する報告を聴取した。蘇院長は報告聴取後、「アジア・シリコンバレー計画」を含む「5+2産業イノベーション計画」は「未来と連結」、「海外と連結」、「地元と連結」したものでなければならないと述べた。
蘇院長は、中華民国政府が掲げる「5+2産業イノベーション計画」の推進に当たっては、各省庁に対して「未来と連結」、「海外と連結」、「地元と連結」の3つの方向からアプローチするよう呼び掛けたいと述べた。その内容は以下のとおり。
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1つ目の「未来と連結」は、国民の立場になって考え、海外の産業の発展動向を把握すること。つまり、イノベーション技術を利用することで、いかにして国民の生活をより便利なものにするかを考える必要がある。具体的には、ブロックチェーンをスマートガバメントに応用し、情報処理の安全を確保する。あるいは、AI(人工知能)と医療ビッグデータを結びつけ、国民により適切な医療サービスを提供し、支出の無駄を省く。フィンテックとモバイル決済を普及させ、国民の消費をより便利なものにする―などが挙げられる。
次に「海外と連結」する必要がある。米シリコンバレーを成功に導いたのは、海外から引きつけた豊富な人材だった。国家発展委員会が草案をまとめている『新経済移民法』は非常に重要で、立法院(国会)で優先的に議論されるよう期待している。教育部(日本の文部科学省に類似)も現在、台湾の一流大学でのハイテク人材の育成について目標数値を設定するなど具体措置を採り、また海外の優秀な学生を積極的に誘致している。
さらに「地元と連結」は今年の重点でもある。桃園(台湾北部)に「アジアシリコンバレーイノベーションセンター」と「IoTイノベーションセンター」を設立し、スマートシティ技術と地方創生政策を結びつけ、科学技術の地方都市への導入を促したいと考えている。
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国家発展委員会が策定した「アジア・シリコンバレー計画」は2016年から2023年までの8カ年計画。研究・開発を中心とするイノベーションやスタートアップのための生態系を確立することを目指している。また、モノのインターネット(IoT)の活用によって産業の高度化を図り、イノベーションや起業によって経済成長を促す。スタートアップや起業の生態系方面については2018年、スタートアップの資金調達額が過去最高の218億台湾元(約780億日本円)に達した。台北アリーナ(台湾北部・台北市)や林口(台湾北部・新北市)に設置したスタートアップのプラットフォームも軌道に乗り、すでに100を超える国内外のスタートアップやアクセラレータが入居し、台湾のスタートアップと海外との結びつきを強化している。
IoTイノベーションの推進については、米マイクロソフトが台湾に研究・開発センターを設置し、米Googleも「智慧台湾(Intelligent Taiwan)計画」を推進している。米シスコシステムズも桃園にイノベーションセンターを設置する計画を明らかにしている。政府と民間が一丸となって努力した結果、2018年、台湾におけるIoT産業の生産高は39億米ドル(1兆1,700億台湾元に相当)に達した。これは前年比19%の成長であり、初の1兆台湾元突破となった。
台湾は「世界経済フォーラム(WEF)」の2018年版「世界競争力ランキング」によってドイツ、米国、スイスと並ぶ世界4つの「super innovators(スーパー・イノベーター)」と評価されている。今後もスタートアップに関する規制緩和、海外からの人材誘致などを強化し、桃園での「アジアシリコンバレーイノベーションセンター」建設を推進する。国家発展委員会は今年、「地元と連結」に焦点を当て、これらの技術をスマートシティ作りに応用し、地方創生に直結する科学技術を導入するなどして、国民が「アジア・シリコンバレー計画」の成果を実感できるようにすることを目指している。
Sources:Taiwan Today;2018年02月18日
資料來源: 行政院新聞傳播處