2020-11-20
経済部(日本の経産省に相当)投資業務処が19日午前、中国大陸に進出して投資を行う場合のリスクに「台商」(台湾資本ながら主に海外で活動する企業)が対応できるようにするため、「台商投資実務シンポジウム」を開催した。同シンポジウムでは学者や専門家が、米大統領選挙後の米中関係の変化や中国大陸の内外の最新情勢が「台商」の中国大陸における投資と経営に与える影響について踏み込んだ分析を行ったほか、「台商」がこの新たな変化の中で投資リスクをいかにして管理し、危険を避けながら順調なビジネスを実現するかを議論した。
経済部投資業務処の謝秀萍参事はシンポジウムであいさつし、「台商」が中国大陸でビジネスを行う際のコストが近年高まりつつあること、貿易をめぐって米中の関係が悪化していること、新型コロナウイルス拡大によって世界のサプライチェーン再構築が求められていることなどから「台商」の一部では投資の展開を見直す動きが出ていると指摘。その上で謝参事は、政府はこうしたニーズに対応して様々な優遇措置を用意し、「台商」の台湾へのUターン投資もしくは投資先を「新南向政策」の対象国に移す動きを積極的にサポートしていくと述べた。また、「台商」が中国大陸で遭遇した投資に関するトラブルについても経済部台商聯合服務中心が専門の法律コンサルタントサービスを提供し、中国大陸との「海峡両岸投資保障和促進協議」(海峡両岸投資保障及び促進協定)に定められた行政協力システムを通じて対処することで「台商」の合法的な権益を守っていく。「新南向政策」とは南アジア、東南アジアにニュージーランドとオーストラリアを加えた18カ国を対象に幅広い関係強化を目指す政策。
シンクタンクである財団法人台湾智庫(Taiwan Thinktank)の頼怡忠執行委員は米中台の三者関係の最新情勢を分析、米国のインド太平洋戦略は継続され、中国大陸は自ら西側との関係の解消(デカップリング)もしくは希薄化に転じる可能性があると指摘した。頼執行委員は、新型コロナウイルスの封じ込めに成功したことで台湾は世界の焦点となり、海外メディアに広く報道された影響で大量の外国人投資家とチャンスが台湾に流入していると説明、「台湾製造」(メイド・イン・タイワン)が評価されていることで「品牌台湾」(台湾のブランド化)の機会が大きく広がっており、台湾がオリジナルブランドを打ち出していくチャンスだと強調した。
ベテランの経済評論家である黄世聡氏は、米国の新政権が国際組織へ復帰して中国に圧力をかける可能性を指摘すると共に、人権問題が米中関係の大きな障害になるかもしれないと予想した。また産業面で米国は実質的に中国を排除する「クリーンサプライチェーン」や「クリーンネットワーク」をより強調するようになろうとして、ハイテク企業の「台商」は身の振り方がより難しくなるとの見方を示した。
「台商」の中には中国における投資計画の撤回や縮小を考える企業が少なくない。資誠聯合会計師事務所(PricewaterhouseCoopers Taiwan)の段士良会計士はこれについて、「台商」が中国での土地や自社株の処分を考える場合は税負担や資金の持ち出し(海外送金)、取引の手続きなどの重要な要素を検討せねばならないと強調、さらにそうした場合は取引の安全性が取引価格よりも重要であることを理解する必要性を指摘した。段会計士はまた、土地増値税(取得時から土地の価格が上昇している場合に課される税)の課税リスクや職員の解雇時期など、交渉過程で生まれる可能性のある問題についても注意しておかねばならないと述べた。
Sources:Taiwan Today;2020年11月20日
資料來源: 経済部
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