2020-11-19
科技部(日本の省レベル)は現在、先進的な半導体製造工程とICチップのシステムの面で台湾の自主開発能力確立とハイレベルな人材育成を図る「半導体射月計画」を推進、台湾における半導体産業の国際的な競争力を高めようとしている。「半導体射月計画」の正式名称は「智慧終端(AI Edge)半導体製程与晶片系統研発計画」。
国立清華大学(台湾北部・新竹市)の林永隆教授の研究チームは、このうち自然言語の理解と学習、予測を行うコグニティブコンピューティング、ならびにAI(人工知能)処理に特化した半導体であるAIチップに関するプロジェクトを執行、インテリジェントコンピューティングでの演算法や新たなネットワーク構造、各種ハードとソフトのプラットフォームでの実装を研究すると共に、産業界での幅広い応用を推進して大きな成果を挙げている。
近年、ディープラーニング(深層学習)技術は画像認識や物体認識、特徴診断、言語処理などの分野で幅広く応用され、驚くべき効果を挙げている。こうした応用をさらに普及させるには高効率の半導体技術を開発することが最も重要となる。研究チームはハードウェアへの実装に最も適したニューラルネットワーク(神経回路網)を開発して「HarDNet」と命名した。「HarDNet」は著名な「ResNet」と比べて同等の精度を3分の1の演算時間で実現するという。「HarDNet」は画像認識や物体認識、物体追跡(オブジェクトトラッキング)、ビデオセグメンテーションなどでの応用で非常に効果的で、研究チームはその成果をコンピュータービジョン分野で世界的に権威のある会議「ICCV」で発表、さらにソフトウェア開発のプラットフォームである「GitHub」を通じて全世界の関係コミュニティに広めて大きな反響を獲得した。
また、ある研究によれば「阻害攻撃(adversarial attack)」により、訓練されているディープラーニングのニューラルネットワークモデルでも人為的に作られたデータ「敵対的サンプル(adversarial example)」ならば誤検知させることが出来、これがセキュリティ面での問題と使用者の不安につながっているという。しかし「HarDNet」はこうした悪意ある攻撃にも比較的強い。
この研究成果は世界的な会議や学術団体である「ICCV(International Conference on Computer Vision)」、「AAAI(Association for the Advancement of Artificial Intelligence)」、「ICML(International Conference on Machine Learning)」などで複数の論文として発表され、台湾と米国で13項目(26件)の特許を出願。当初からの一部研究スタッフは開発した技術を移転する形で「創鑫智慧株式会社」を立ち上げ、最近ようやく新竹サイエンスパークへの入居が認められた。開発したニューラルネットワークアクセラレータのIPコア(LSIを構成するための部分的回路情報)は著名な企業に採用され、高度な言語処理を行うSOC(システムとして機能するように作られたICチップ)に使われている。すでにマルチプロジェクトウエハ方式(1枚のウエハを複数のユーザーがシェアする形での生産)が認められており、間もなく量産体制が整えられるということ。
Sources:Taiwan Today;2020年11月19日
資料來源: 科技部
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