2020-02-13
水素エネルギーは現在、世界各国が発展に取り組む再生可能エネルギーの一つだ。水素を燃料とする燃料電池の使用によって生産されるのは水だけで、二酸化炭素を一切排出しないため、再生可能エネルギーとしては極めて高い潜在力を持つ。しかし、最大の問題は、水素の生成には大量の電力が必要で、莫大なコストがかかるということだ。このため、電力による水素生成の変換効率をいかに高め、水素の生成コストを抑えるかに科学者の関心が寄せられている。
国立台湾大学材料化学與工程学系(=マテリアルサイエンス及びエンジニアリング学科)の陳俊維特聘教授は、国立台湾科技大学化工系の黄炳照教授、私立東海大学化学系の王迪彦助理教授と「新世代能源研究団隊(=新世代エネルギー研究チーム)」を結成し、科技部(日本の文科省に類似)が実施するプロジェクトの支持を受け、極薄の原子層材料であるグラフェン(graphene)とケイ素材料を組み合わせ、光電気化学を用いた新たな水素生成技術を開発した。これは、太陽光を利用して水素を生成するに当たり、その変換効率を現行の技術に比べて20%高めることができるというもの。この研究成果は国際ジャーナルでも発表されている。
この研究は、太陽光を吸収するというシリコン素材の原理を利用したもの。太陽光エネルギーの吸収効率を高めることで、このエネルギーを水の分解に利用し、そこから清潔な水素エネルギーを作り出すという仕組みだ。これまでの研究で、シリコンは電解液に入れると不安定な状態になり、変換効率に影響を与えることが分かっていた。しかし、今回の研究では、シリコンの表面に毛髪の直径の10万分の1の厚さの原子層材料「グラフェン」を敷き、シリコンに耐酸耐アルカリの特性を持たせることで、その安定性を保ちながら、変換効率を大幅に引き上げることに成功した。
ただし、陳俊維特聘教授は「科学技術の進歩や、再生エネルギーの幅広い応用などに伴い、再生可能エネルギーの生産コストは徐々に低下すると考えられる。今回開発した技術がいつ実用化されるかは、技術の発展状況を観察する必要があり、現時点では予想が難しい」と述べている。
Sources:Taiwan Today;2020年02月13日
資料來源: 科技部
Juiker アプリ - 無料通話
一緒に Juiker しましょう