2017-11-13
行政院(内閣)の頼清徳院長(首相)は10日に開いた記者会見で、産業が抱える労働力及び人材不足問題を解決するために行政院がまとめた6つのアプローチについて説明した。産業が抱える人材不足問題については、「人材のつなぎとめ」、「人材の誘致」、「人材の育成」の3つのアプローチによって解決する。また、投資誘致と経済発展のネックとなっている労働者不足問題の解決には、「人材マッチング支援による労働力の開発」、「低賃金問題と労働環境の改善」、「産学連携による人材ミスマッチの解消」の3つのアプローチで対応する。
そのうち「人材のつなぎとめ」、「人材の誘致」、「人材の育成」の3つのアプローチについて、国家発展委員会がまとめた各7項目の戦略、「人材マッチング支援による労働力の開発」、「低賃金問題と労働環境の改善」、「産学連携による人材ミスマッチの解消」の具体的措置は以下の通り。
「人材のつなぎとめ」
1.『所得税法』の改正により、総合所得税の最高税率を現在の45%から40%に引き下げる。
2.『産業創新条例(産業イノベーション条例)』の規定では、「従業員への報酬株式」について、給付年度における実勢価格が500万台湾元(約1,880万日本円)以内に限り、当該年度の翌年から起算して5年間、所得税の納税を猶予(納税猶予)する選択ができるとされているが、これを「株式譲渡時課税(課税の繰り延べ)」の選択に改正する。(§19-1)
3.『産業創新条例』の規定では、知的財産権の現物出資によって取得した報酬株式について、給付年度の翌年から起算して5年間、所得税の納税を猶予する選択ができるとされているが、これを「株式譲渡時課税」の選択に改正する。(§12-1)
4.『産業創新条例』を改正し、リミテッド・パートナーシップ(Limited Partnership)によるベンチャーキャピタルへの出資事業が一定の要件に合致すれば「パル・スルー課税」を適用できるようにする。(§23-1)
5.『産業創新条例』を改正し、創業まもない事業に対する個人のエンジェル投資家は、同一のスタートアップ企業に対する投資額が100万台湾元(約370万日本円)に達した場合、投資額の50%を上限として、所得税から控除できるようにする。年間控除額は300万台湾元(約1,120万日本円)を上限とする。(§23-2)
6.スタートアップに優しい環境づくりを目指す。
7.『公司法』の改正により、従業員への報酬株式(自己株式、新株予約権証券、ストックオプション)などの給付対象を、支配会社及び従属会社の従業員に拡大する。
「人材の誘致」
1.『外国専業人才延攬及僱用法(外国人雇用法)』を制定する。
2.人材マッチングのポータルサイト「Contact Taiwan」を、中央政府が管理する人材誘致のためのワンストップ窓口とする。
3.『入出国及移民法』の改正により、海外人材が「入りやすく」、「とどまりやすい」法体制を整える。海外にいる台湾人材やその子女などが台湾に戻り、定住するための規制を緩和する。
4.台湾で学ぶ海外留学生や華僑学生が台湾で就職活動を行う際のビザ有効期間を、現在の6か月間から1年間に延長する。
5.多国籍企業の外国籍幹部が台湾でのポストを得たり、台湾で研修を受けたりできるよう規制を緩和し、「新南向政策」対象国と人材の双方向交流ができるメカニズムを確立する。
6.政府が重点産業として掲げる「5+2イノベーション産業」に関連する雇用者が専門性を持った外国人人材を雇用する際の、雇用者の基本金や営業額に関する規制を緩和する。
7.公立の小学校、中学校、高校でバイリンガル(中国語と英語)教育実証クラスを増設する。
「人材の育成」
1.産学連携の強化:特定産業のニーズに合わせ、教育機関における関連学科の定員を増やす。
2.企業が教学に協力する
3.産業が自主的に必要な人材を育成する:人材を必要とする産業が資源を投入し、教育機関と協力して、人材の育成を行うよう促進する。
4.「技能検定」の強化:『産業創新条例』の改正に基づき、政府が掲げる重点産業のニーズに合わせて、関連人材の技能検定の運用とその品質管理を強化する。
5.大学や企業による育成、それに企業による台湾でのAI(人工知能)研究・開発センター設置を促進し、2021年までに少なくとも次世代AI人材1,000人以上を育成する。
6.大学での超領域的な人材育成により、スマート・テクノロジー分野の応用人材を少なくとも年間5,000人ずつ輩出する。また、AI(人工知能)学院を開発し、AI人材の認証制度を構築する。
7.教育機関が第二専攻や技能向上に関する課程を開設するよう奨励し、職場で働く人がイノベーション産業に参入しやすくする。
「人材マッチング支援による労働力の開発」
■重点産業と重大投資事業に関して、省庁横断型の人材マッチングプラットフォームを設置し、産業の人材マッチング支援を行う。
■補助金を出し、人材が不足している産業への転職を奨励する。
■台湾に5か所の「青年職涯発展中心」を設置する。
■中高齢者の雇用を定める法律を制定する。
■職場と家庭を両立できる政策を講じる。
■大学を在職者、再雇用希望者、シニアに開放する。
「低賃金問題と労働環境の改善」
■産業の高度化を促進する。
■3K(汚い、きつい、危険)産業の労働環境を改善するための省庁横断型プラットフォームを設立。産業の高度化と労働環境の改善に協力する。
■賃金に関する情報を発表し、企業が市場の相場以上の待遇で人材募集を行うよう導く。
■企業内の人材育成制度の確立と、人材育成資源の健全化に協力する。
■製造業の労働イメージの向上に努める。製造業の労働環境に対して労働者が認識を深め、より多くの人材を製造業に呼び戻すことを目指す。
「産学連携による人材ミスマッチの解消」
■高校や職業高校のコーオプ教育(就業体験プログラム)により、卒業後の就職率を毎年50%以上引き上げる。
■学生の就業体験を受け入れる企業や機構を、毎年少なくとも200ヶ所ずつ増やす。
■「契合式人材培育専班」と呼ばれる就職直結型のインターンシップ計画を実施する。また、その就職率を少なくとも70%とする。
■さまざまな職種の職業訓練や、企業向けにカスタマイズされた職業訓練を実施する。年間33,000人以上の訓練を行う。
■職業技能の基準を設ける。
■「五専展翅計画」により、五年制専科学校の生徒が卒業後すぐに就職することを奨励。就職率を毎年5%ずつ引き上げる。
■高等教育機関の学部・学科の募集定員の調整を行う。
■『学位授予法』を改正する。
Sources:Taiwan Today;2017年11月13日
資料來源: 行政院ニュース広報処
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